What works on wallstreet

2014年に買って、眠ってた長期投資の本、What works on wallstreet読んだ。

PERやPSR、配当利回りなどよく使われる指標に対して、株をリバランスしながら長期保有した場合に、どの程度のパフォーマンスへの影響があるかを調査した本だ。

今の自分の投資法に付け加えるものは、そんなに多くはないけど、自分のグロースとバリューのストラテジーの理屈を補足するような内容だった。

翻訳はどうやら存在しないようで、英語で読むしか無いけれど、それぞれの指標に対して同じフォーマットでデータが並んでいるため、最初の方だけ読めば後の方はグラフだけ読めば事足りるようになるので、1日で読める。

この本を読んで株式投資がうまくなったりはしないだろうけど、利益や売上と言ったものが企業の長期パフォーマンスに対して、どの程度安定して有効なのかということが推察できるようになる。

紹介されている指標は、ざっとPER、PSR、PBR、配当利回り、PERの変化率、Relative Strength等で、それぞれについて大型株と小形株の長期パフォーマンスが比較されている。

本の内容としては、グロース系とバリュー系の両方のデータが書いてあるが、基本的にはバリュー系の投資法に有効な本だろうと思う。

グロースのデータも乗っているが、結論としてPERは役に立たないとか、PSR=1以下だとパフォーマンスが良いとか、その手法で辿り着ける銘柄は、現在の日本や米国においては、およそ所謂グロース系の銘柄とはかけ離れたものになる。

PSR=1以下ってことは、利益率が高い業種だと全て該当しなくなってしまうし、該当する企業においても、そういう企業は、ほとんどPBRも1倍以下なるからバリュー投資系の企業群のみ該当する結果となり、グロース指標として意味がない。

これは高い成長率が長期間持続することはないため、長期で見ると、結局相当安いときに買わなければ有利な結果が得られないということだろうと思うが、要するにグロースにおいては、タイミングを測る必要があるというだけのことと感じる。

また、興味深いデータとして、Relative Strengthが最も有効な指標の一つとして紹介されている。Relative Strengthは、この本では、前年の株価と今年の株価の変化率のことで、今風に言えばテクニカル指標といえる。

この本の結論に示されているのはこのRSとPSRやPBR、PER成長率などの有効なファンダメンタルズ指標を組み合わせるのが有効だというになっている。

結論からすると当たり前的な感じがするが、具体的なデータとしてそれが明らかになるのが、この本の素晴らしいところだと思う。